- 慢性腎不全、慢性腎臓病、糖尿病性腎症、高血圧性腎症の保存期治療(透析療法導入までの期間延長を目指します。)
- たんぱく尿、血尿の診断・治療
- 高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症など生活習慣病の診断・治療
- 風邪、頭痛、胃腸疾患などの一般内科疾患
現在、日本には約30万人の透析患者さんがいます。これは国民440人に1人が透析患者という計算になりますが、透析患者数は増加の一途をたどっています。そして慢性的に腎機能が低下している透析予備軍を「慢性腎臓病」と呼びます。
現在、日本には約1330万人の慢性腎臓病患者がいると推定されています。これは、成人の約8人に1人にあたる数ですが、こちらも同様に急激に増えています。「慢性腎臓病」はこれだけ頻度の高い国民病であるにもかかわらず、患者さんの大部分は何の症状もないまま、徐々に腎機能が低下していき、末期腎不全へと進行していきます。しかし、「慢性腎臓病」を早期発見・早期治療することによって、病気の進行を抑えることができるのです。
●慢性腎臓病になりやすい方(ハイリスク群)
(1)高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満がある方
(2)高齢者
(3)近親者に慢性腎臓病の方がいる
(4)膠原(こうげん)病、尿路感染症、尿路結石などの病気がある
(5)以前、腎臓病にかかったことがある、たんぱく尿などを指摘されたことがある
(6)薬(鎮痛剤、抗炎症剤など)を常用している
特に高血圧、高血糖(糖尿病)、脂質異常(高脂血症)などの因子は、心臓や脳につながる動脈の硬化をもたらすため、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるなど命への直接的な危険を招くとして、その予防・改善に国を挙げての取り組みが進められています。動脈硬化の危険は腎臓でも同様に起こり、その結果腎臓に流れる血液が滞り腎臓の働きが低下するのです。
健診で高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満を指摘されている方は放置せず、一度腎臓の詳しい検査を受けましょう。当院では慢性腎臓病を早期発見・早期治療することによって、病気の進行を少しでも遅らせ、増え続ける透析患者さんの抑制と心血管事故が起こらないよう努めてまいります。
検診で「血尿」と言われたら?
下記の疾患が疑われます。
(1)一過性血尿(風邪、激しい運動など)
(2)糸球体性血尿(IgA腎症など)
(3)尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎など)
(4)悪性腫瘍(膀胱がん、腎がんなど)
(5)前立腺疾患
(6)外傷
(7)結石などの疾患が疑われます。
まず詳しい尿検査を行い、尿細胞診や超音波検査で尿路に異常がないか確認します。
異常がなければ一過性血尿で、多くの場合問題はありません。
しかし、目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)やたんぱく尿も一緒に出ているようであれば、その程度によって治療または精密検査をすることもあります。
検診で「たんぱく尿」と言われたら?
下記の疾患が疑われます。
(1)生理的たんぱく尿(風邪、激しい運動後の一過性たんぱく尿)、起立性たんぱく尿
(2)糸球体性たんぱく尿(慢性腎炎、糖尿病性腎症、など)
(3)その他
まず尿の再検査と超音波検査を行い、たんぱく尿陰性で尿路に異常がなければ一過性たんぱく尿と診断されることが多いです。
陽性であれば、安静時尿(早朝尿)を検査して、陰性であれば生理的たんぱく尿と考えられます。
それでも陽性の場合は、1日の尿たんぱく量測定や血液検査による精密検査が必要です。
原因がはっきりしない時は、病院に入院して腎臓の一部を採取する検査(腎生検)を行うこともあります。